
課長研修の見直し方とは?管理職育成で確認したいタイミングと判断基準
課長研修は毎年実施する企業も多く、人事部内の組織変更や担当者の交代、数年間同じ内容を続けていることなどをきっかけに、見直しを検討することがあります。
ただし、見直すかどうかは実施年数や人事側の事情だけでなく、課長が抱える課題や会社が求める役割など、現在の会社・現場の状況に即して判断することが大切です。
本記事では、課長研修を見直すタイミングとして確認したい現場・会社の変化や、見直す際の判断基準、注意したいポイントについて解説します。
目次[非表示]
- 1.課長研修は「何年ごと」ではなく、現場と会社の変化を基準に判断する
- 2.課長研修を見直したい「現場のサイン」
- 2.1.課長・メンバーの離職が増えている
- 2.2.課長層の疲弊や人事への相談が増えている
- 2.3.プレイング業務から抜け出せていない
- 2.4.部下育成・評価にばらつきがある
- 2.5.会社として求めるマネジメントが共有されていない
- 3.会社・事業の変化も課長研修を見直すタイミング
- 3.1.事業方針が変わった
- 3.2.組織体制・人事制度が変わった
- 3.3.働き方・職場環境が変わった
- 3.4.課長がマネジメントする人数・属性が変わった
- 4.課長研修を見直すときに確認したい3つの視点
- 5.課長研修の見直しでやってはいけない4つのパターン
- 6.担当者交代を機に課長研修の目的を再確認する
- 7.まとめ
課長研修は「何年ごと」ではなく、現場と会社の変化を基準に判断する
課長研修には、「3年ごとに変える」といった一律の見直し時期があるわけではありません。
現在の組織課題や課長に求める役割に合っており、研修で学んだ内容が現場でも活用されているのであれば、前年と同じ内容を継続することもできます。一方、課長やメンバーが抱える課題、組織体制、働き方、事業方針などが変われば、これまでの研修内容とのズレが生じることがあります。
「何年実施したか」ではなく、現場や会社に変化が起きていないかを確認し、その変化に対して現在の研修が対応できているかを基準に見直しを判断することがポイントです。
課長研修を見直したい「現場のサイン」
課長研修を見直すきっかけの一つが、現場で起きている変化です。課長本人やメンバーの状況に次のような変化が見られる場合は、原因を確認したうえで、現在の研修内容が現場の課題に合っているかを検討します。
課長・メンバーの離職が増えている
課長職の離職が増えている、特定の部署でメンバーの離職が続いているといった状況は、職場で何らかの課題が生じているサインの一つです。
ただし、離職の原因をすぐに課長のマネジメントに求めるのではなく、業務量や人間関係、評価、キャリアなど、背景を確認する必要があります。そのうえで、課長の役割や業務負荷、部下育成など、マネジメントに関わる共通の課題が見つかった場合は、現在の課長研修で十分に扱えているかを見直します。
課長層の疲弊や人事への相談が増えている
「部下との関わり方が分からない」「チーム運営まで手が回らない」といった課長からの相談が増えている場合も、現在求められているマネジメントと研修内容にズレがないか確認したいところです。
課長は、経営方針や上位方針を現場へ伝える一方、メンバーの状況を把握しながらチームを運営する立場にあります。役割が増えているにもかかわらず、それに対応する知識やスキルを学ぶ機会がなければ、負担を抱えやすくなります。
相談内容を集めて共通する悩みを整理し、研修で支援できる領域があるかを確認します。
プレイング業務から抜け出せていない
課長自身がプレイヤーとして多くの業務を抱え、部下育成やチーム運営に十分な時間を確保できていない状態も見直しのサインです。
自身で仕事を処理することに慣れていると、課長になったあとも「自分で対応したほうが早い」と仕事を抱え込みやすくなります。その結果、メンバーへ仕事を任せる機会が減り、部下育成も進みにくくなります。
こうした課題が複数の課長に見られる場合は、プレイヤーからマネジャーへの役割転換や、権限移譲、部下への仕事の任せ方などを現在の研修で扱えているかを確認します。
ただし、業務量自体が多すぎるなど組織側に原因がある場合は、研修だけで解決しようとせず、業務分担や体制の見直しも必要です。
部下育成・評価にばらつきがある
課長によって部下への関わり方や評価の方法に大きな差が生じている場合は、組織として求めるマネジメントが共有されているかを確認します。
ある部署では定期的に部下との対話やフィードバックが行われている一方、別の部署では十分に実施されていない状態では、所属する部署によって育成機会に差が生じる可能性があります。
評価についても、判断基準の理解やフィードバック方法にばらつきがある場合は、評価者として必要な知識や考え方を改めて共有する機会が必要です。
会社として求めるマネジメントが共有されていない
管理職になるまでに体系的にマネジメントを学ぶ機会が少ない場合、自身が過去に受けてきた指導や経験を基に部下へ接することがあります。その結果、課長によって1on1の進め方や仕事の任せ方、部下育成の考え方が大きく異なることがあります。
すべての課長が同じ方法でマネジメントする必要はありませんが、会社として大切にしたい考え方や管理職に求める役割が共有されていないのであれば、研修で共通認識を形成することも検討します。
会社・事業の変化も課長研修を見直すタイミング
研修を見直すきっかけは、現場で問題が起きたときだけではありません。
事業方針や組織体制など会社側に変化があれば、課長に求められる役割も変わります。問題が表面化する前に、現在の研修内容とのズレを確認しておくことが大切です。
事業方針が変わった
中期経営計画の刷新や新規事業への進出など、事業の方向性が変わった場合は、課長に期待する役割も確認します。経営層が掲げた方針を現場へ伝え、具体的な行動へつなげていくことは、課長に求められる役割の一つです。
これまで「既存事業を安定して運営すること」を重視していた企業が、新規事業や組織変革へ力を入れるのであれば、課長にも変化への対応やメンバーへの働きかけなど、新たな役割が求められる可能性があります。事業方針の変化を踏まえ、従来の研修が、新たに求められる役割を果たすための内容になっているかを確認します。
組織体制・人事制度が変わった
組織再編や評価制度の変更、役割等級制度の導入などは、課長研修を見直すきっかけの一つです。
制度が変われば、課長自身が内容を理解するだけでなく、メンバーへの説明や新しい基準に沿った評価も求められます。管理職への説明や育成が十分でないまま制度だけを変更すると、現場での運用にばらつきが生じる可能性があります。
制度変更によって課長の役割や行動にどのような変化が求められるのかを整理し、必要に応じて研修内容へ反映します。
働き方・職場環境が変わった
出社を前提としていた職場からテレワークやハイブリッドワークへ移行するなど、働く環境が変わればマネジメントの方法も変化します。対面で顔を合わせる機会が減れば、これまで以上に意識して情報共有やコミュニケーションの機会を設ける必要があるでしょう。
働き方の変化だけでなく、価値観や仕事への向き合い方が異なるメンバーと協働する場面が増えた場合にも、これまでの経験だけでは対応しにくい課題が生じることがあります。
現在の職場環境で課長がどのようなマネジメントを求められているのかを改めて整理します。
課長がマネジメントする人数・属性が変わった
事業拡大や採用増によって組織が大きくなると、課長が担当するメンバーの人数や構成も変化します。
これまで5人程度のチームを見ていた課長が10人、20人を担当するようになれば、一人ひとりへの関わり方やチーム運営の方法も見直す必要があります。中途採用者や若手社員、勤務形態の異なるメンバーなど、チームの構成が多様になった場合も同様です。
組織の規模やメンバー構成の変化に対して、課長が必要なマネジメントスキルを身につけられているかを確認します。
課長研修を見直すときに確認したい3つの視点
現場や会社に変化が見られたからといって、すぐに研修内容を変更する必要があるとは限りません。まずは、「現場」「組織」「事業」の3つの視点から状況を整理し、現在の研修とのギャップを確認します。
視点 | 確認すること | 確認方法の例 |
|---|---|---|
現場 | 課長やメンバーは何に困っているか | ヒアリング、アンケート、サーベイ |
組織 | 現在の課長にどのような役割が求められているか | 組織体制、働き方、人事制度などの確認 |
事業 | 今後の事業にどのような管理職が必要か | 経営方針、中期経営計画、事業戦略などの確認 |
この3つを照らし合わせることで、「以前から実施しているから続ける」「新しいテーマが話題だから追加する」といった理由だけではなく、現在の課長に必要な研修内容を検討しやすくなります。
課長研修の見直しでやってはいけない4つのパターン
研修の見直しでは、「何を変えるか」から考えるのではなく、現在の研修にどのような課題があるのかを確認することが先です。
ここでは、見直しの際に注意したい4つのパターンを紹介します。
①研修満足度だけで判断する
研修後のアンケートは、受講者の理解度や感想を確認する材料になります。ただし、「満足度が高かった」という結果だけでは、研修内容が現在の組織課題に合っているかまでは判断できません。
研修で学んだ内容が現場で実践されているか、期待していた行動の変化が見られるかなど、その後の状況も確認します。
②講師を変えるだけで解決しようとする
研修の反応がよくなかったから講師を変えるという対応だけでは、課題が残る場合があります。研修の目的やテーマ自体が現場に合っていなければ、講師を変更しても根本的な改善にはつながりません。
講師や研修会社を検討する前に、まず「この研修で何を解決したかったのか」「現在もその課題は存在するのか」を振り返ります。
③流行のテーマを安易に追加する
エンゲージメント、1on1、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)、生成AIなど、人材育成を取り巻くテーマは変化しています。新たなテーマについて学ぶこと自体に問題はありませんが、話題になっているという理由だけで研修へ追加すると、現在の課長に必要な学びとの優先順位が曖昧になることがあります。
自社の課題や課長に求める役割を確認し、その実現に必要なテーマかどうかを判断します。
自社の課題に適した研修のテーマを探している人事担当者は、こちらの記事も参考にしてみてください。
④「なぜこの研修をするのか」を確認せず内容だけ変える
研修を見直す際に特に避けたいのが、目的を確認しないままカリキュラムだけを変更することです。「グループワークを増やす」「研修時間を短くする」といった実施方法を変える前に、次の点を整理します。
誰を対象とする研修なのか
どのような課題を解決したいのか
課長にどのような役割を期待しているのか
研修後にどのような状態を目指すのか
これらが変化しているのであれば、それに合わせて研修内容を再設計します。変わっていないのであれば、従来の研修を継続する判断もできます。
担当者交代を機に課長研修の目的を再確認する
人事異動などで研修担当者が交代すると、「せっかく担当になったので内容を変えたい」と考えることもあるかもしれません。しかし、担当者が変わったこと自体は、研修内容を変える理由にはなりません。
まず前任者がどのような意図で研修を企画したのかを確認します。引き継ぎ時には、少なくとも次の4点を整理します。
研修を始めた目的
当初解決したかった課題
課長に期待していた役割
現在の現場とのギャップ
併せて、過去のアンケートや受講者の声、研修後の実践状況なども確認します。
当初の目的が現在も変わらず、研修が現場で活用されているのであれば、無理に変更する必要はありません。一方、組織課題や課長への期待が変わっているのであれば、その差を踏まえて見直します。
まとめ
課長研修の見直しでは、内容を新しくすること自体が目的ではありません。現在の課長が直面している課題や、会社が求める役割と照らし合わせ、既存の研修で支援できていることと不足していることを整理することが出発点です。
課題に合っている内容であれば継続し、ズレが生じている部分があれば必要な範囲を見直します。定期的に研修の目的と現場の状況を確認できる仕組みを持つことで、その時々の管理職育成に合った研修を検討しやすくなります。
リ・カレントでは、管理職向けのトレーニングに加え、アセスメント・サーベイによる課題の可視化や組織開発などを組み合わせ、企業ごとの課題に応じた管理職育成を支援しています。課長研修の現状を整理したい場合や、現在の研修を継続すべきか見直すべきか悩んでいる場合は、ぜひご相談ください。

