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管理職研修の課題をどう把握する?現場の悩みを引き出すヒアリング方法

管理職研修を企画する際、まず検討が必要となるのが「どのようなテーマを扱うか」です。「エンゲージメントを高めたい」「ダイバーシティを推進したい」「部下育成を強化したい」など、企業が管理職に学んでほしいテーマは多岐にわたります。

一方、会社側の方針や前年の研修内容だけを起点にテーマを決めると、管理職が現場で抱えている悩みと研修内容にずれが生じることがあります。研修を実務につなげるには、管理職本人が何に困っているのかを把握したうえで、必要なテーマを整理することがポイントです。

本記事では、管理職が抱えやすい悩みや課題をはじめ、現場の声を集める方法、本音を引き出すヒアリングの進め方、把握した課題を研修設計につなげる方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.管理職研修の前に「現場の悩み」を把握すべき理由
  2. 2.管理職が抱えやすい悩み・課題一覧
  3. 3.自社の管理職の「生の課題」を集める4つの方法
    1. 3.1.①管理職本人へのヒアリング
    2. 3.2.②匿名アンケート
    3. 3.3.③サーベイ・既存データ
    4. 3.4.④第三者・研修会社によるヒアリング
  4. 4.管理職が本音を話しやすくなるヒアリングの進め方
    1. 4.1.「課題は何ですか?」ではなく具体的な場面を聞く
    2. 4.2.評価ではなく「困りごとの把握」が目的だと伝える
    3. 4.3.答えやすい質問と答えにくい質問を使い分ける
    4. 4.4.一度のヒアリングで結論を出さず共通項を探す
  5. 5.集めた悩みを管理職研修の設計につなげる方法
    1. 5.1.①悩みをテーマ別に分類する
    2. 5.2.②表面的な悩みから背景・原因を深掘りする
    3. 5.3.③「研修で解決できること/できないこと」を分ける
    4. 5.4.④管理職の「ありたい姿」と現状のギャップを整理する
  6. 6.まとめ

管理職研修の前に「現場の悩み」を把握すべき理由

管理職研修では、会社や人事が扱いたいテーマと、管理職本人が実務で困っていることが一致するとは限りません。

前年の研修内容や世間のトレンドを中心に企画すると、現場が必要としている支援と研修内容にずれが生じる可能性があります。そのため、研修テーマを決める前に、管理職が日々どのような場面で困っているのかを確認することが必要です。

現場の課題を踏まえて研修を設計することで、受講者も研修の目的を理解しやすくなり、実務で活用しやすい内容につなげられます。

管理職が抱えやすい悩み・課題一覧

管理職には、組織目標の達成だけでなく、部下育成や評価、チーム運営など幅広い役割があります。プレイヤーとして自身の業務も担当している場合には、マネジメントとの両立に悩むこともあります。

管理職が抱えやすい悩みには、次のようなものがあります。

▼管理職の悩みの例

領域

現場で起きやすい悩み

プレイング業務

自分の仕事が多く、マネジメントに十分な時間を使えない

部下育成

部下に任せたいが、自分で対応したほうが早いと感じてしまう

1on1

部下と何を話せばよいのか分からない

評価

評価結果や改善点を部下へどう伝えるか迷う

ハラスメント

どこまで指導するとハラスメントになるのか不安がある

若手との関係

若手社員との価値観の違いに戸惑う

経営と現場の板挟み

経営方針を現場へどのように伝えればよいか分からない

チーム運営

メンバーによって能力や仕事への意欲に差がある

多様性

年齢・働き方・価値観が異なるメンバーへの関わり方に迷う

自分自身

管理職として会社から何を期待されているのか分からない

こうした情報は、研修テーマを検討する際の参考になります。ただし、一般的な管理職の悩みが、そのまま自社にも当てはまるとは限りません。

「管理職には部下育成が必要」「最近は1on1が重要」といった一般論から決めるのではなく、自社の管理職がどこで困っているのかを確認する必要があります。

自社の管理職の「生の課題」を集める4つの方法

管理職の悩みを把握する方法には、ヒアリングやアンケート、既存データの活用などがあります。一つの方法だけに頼らず、複数の手段を組み合わせることで、個人の意見だけに偏らず現場の状況を捉えやすくなります。

①管理職本人へのヒアリング

まずは、研修対象となる管理職本人に話を聞きます。日々の業務で困っていることや、マネジメントに難しさを感じた場面を確認すると、表面的な課題だけでなく、その背景まで把握しやすくなります。

また、研修会社へ企画を依頼する場合でも、人事が現場の声を把握しておけば、自社の状況や研修で扱いたい課題を具体的に共有できます。

②匿名アンケート

対面では話しにくい悩みを拾うには、匿名アンケートも有効です。「部下育成」「業務管理」「評価」といった選択肢だけでなく、具体的な出来事を書ける自由記述欄を設けると、現場で起きている状況を把握しやすくなります。

対面ヒアリングと組み合わせれば、直接話せる内容と匿名だからこそ出てくる意見の両方を収集できます。

③サーベイ・既存データ

エンゲージメントサーベイや360度評価など、社内ですでに取得しているデータも活用できます。マネジメントや上司とのコミュニケーションに関する項目から傾向を確認し、その背景をヒアリングで掘り下げる方法です。

定量的なデータと現場の声を組み合わせることで、組織全体の傾向と個々の課題を整理しやすくなります。

④第三者・研修会社によるヒアリング

人事には話しにくい内容が含まれる場合は、研修会社やコンサルタントなどの第三者へヒアリングを依頼する方法もあります。管理職側が評価への影響を気にしている場合、自社の人事には弱みや失敗について話しにくいことがあります。

社内とは異なる立場から話を聞くことで、これまで見えていなかった悩みを把握できる可能性があります。

管理職が本音を話しやすくなるヒアリングの進め方

ヒアリングでは、「課題は何ですか」と尋ねるだけでは具体的な情報を得にくいことがあります。管理職が答えやすい環境を整えたうえで、実際の出来事を聞きながら悩みの背景を掘り下げます。

「課題は何ですか?」ではなく具体的な場面を聞く

「現在の課題は何ですか?」という質問は漠然としているため、その場で考えを整理して答えるのが難しい場合があります。

次のように、日々の業務で起きた場面から尋ねると答えやすくなります。

  • 最近、部下への指導で対応に迷った場面はありましたか

  • マネジメントに時間を取られている業務はありますか

  • 部下へ仕事を任せる際に難しいと感じることはありますか

  • 1on1で話題に困ることはありますか

  • メンバーへ経営方針を伝える際に困ることはありますか

具体的な出来事を聞いた後に、「そのとき何が難しかったのか」「どのように対応したのか」と掘り下げると、課題の背景が見えやすくなります。

評価ではなく「困りごとの把握」が目的だと伝える

管理職が「回答内容が評価に影響する」と感じていると、自身の苦手なことや失敗について話しにくくなります。そのため、ヒアリングを始める前に、目的は人事評価ではなく、研修や今後の支援策を検討するための情報収集であることを説明します。

また、回答をどの範囲で共有するのか、個人が特定される形で扱うかどうかといった情報の取り扱いも明確にしておくと、管理職側も安心して回答できます。

答えやすい質問と答えにくい質問を使い分ける

質問の表現によって、管理職から得られる回答は変わります。

「なぜ部下を育成できないのですか」と尋ねると、本人に原因があると決めつけられているように受け取られる可能性があります。一方、「部下育成において、対応が難しいと感じるのはどのような場面ですか」と聞くと、具体的な状況を答えやすくなります。

「なぜできないのか」を追及するのではなく、「どのような場面で、何に困っているのか」を確認する質問にします。

一度のヒアリングで結論を出さず共通項を探す

一人の管理職から特定の悩みが挙がっただけで、すぐに研修テーマを決めるのは避けたいところです。複数の管理職から話を聞き、似た悩みが繰り返し挙がっているかを確認します。

同じ「1on1が難しい」という声でも、質問方法が分からないのか、実施時間を確保できないのか、部下との関係性に課題があるのかによって必要な対応は異なります。

複数の声を整理しながら、個人のスキルによる課題なのか、組織や業務環境に共通する問題なのかを見極めます。

集めた悩みを管理職研修の設計につなげる方法

ヒアリングやアンケートで集めた声は、そのまま研修テーマにするのではなく、背景や原因まで整理します。そのうえで、研修で扱うものと、制度や業務体制など別の方法で対応するものを切り分けます。

①悩みをテーマ別に分類する

最初に、集めた悩みを内容ごとに整理します。

「部下へ仕事を任せられない」「部下が自分で考えて動いてくれない」といった声は「部下育成」、「自分の仕事に追われている」「管理職業務まで手が回らない」といった声は「業務管理」などにまとめられます。

似た内容をグループ化すると、どの領域に悩みが集中しているのかを把握しやすくなります。

②表面的な悩みから背景・原因を深掘りする

次に、挙がった悩みがなぜ起きているのかを整理します。

「プレイング業務が忙しい」という声が多い場合も、業務量だけが原因とは限りません。部下に仕事を任せることへの不安があり、自分で抱え込んでいるケースであれば、権限移譲や部下育成の方法が課題になっている可能性があります。

表面的な悩みだけでテーマを決めず、背景まで確認することで、研修で扱う内容を具体化できます。

③「研修で解決できること/できないこと」を分ける

管理職から挙がった課題のなかには、研修だけでは解決しにくいものもあります。

部下へのフィードバックや仕事の任せ方などは、研修で知識やスキルを身につけることで、改善につなげられる領域です。一方、人員不足や業務分担、評価制度などが原因であれば、研修だけでは十分な改善につながらない可能性があります。

課題ごとに対応方法を整理し、研修で扱う範囲を明確にします。

④管理職の「ありたい姿」と現状のギャップを整理する

最後に、会社が管理職に期待する姿と、現場の状況を照らし合わせます。

会社では「部下へ仕事を任せ、自律的に動けるチームを運営してほしい」と考えている一方、現場では管理職が業務を抱え込んでいるのであれば、両者の間にギャップがあります。ヒアリングで把握した現状と、会社が求める管理職像を整理し、その差を埋めるために必要な知識や行動を研修テーマへ落とし込みます。

こうしたプロセスを踏むことで、「今年は何の研修をするか」から考えるのではなく、「管理職がどのような状態になることを目指すのか」という目的を起点に研修を設計できます。

まとめ

管理職研修を企画する際は、人事が教えたいテーマや前年の内容だけで決めるのではなく、まず現場の管理職が何に困っているのかを確認することがポイントです。

ヒアリングやアンケート、サーベイなどを通じて現場の声を集め、悩みの背景まで整理すると、自社で優先して取り組みたい課題が見えやすくなります。

さらに、研修で対応できる課題と、制度や業務体制の見直しが必要な課題を切り分けたうえで、会社が求める管理職像とのギャップから研修テーマやゴールを設定します。

リ・カレントでは、事前の課題把握やアセスメントから、各社の課題や目指す管理職像に応じた管理職研修の設計・実施まで支援しています。自社の管理職が抱える課題を整理したうえで研修を企画したい場合は、ぜひご相談ください。

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