catch-img

研修の要件定義とは?管理職研修の企画前に整理したい9項目【チェックリスト付き】

初めて管理職研修を企画する際、「何から決めればよいのか」「研修会社へ相談するときに何を伝えればよいのか」と迷う人事担当者もいるのではないでしょうか。

研修企画では、いきなりカリキュラムや実施方法を決めるのではなく、まず「なぜ実施するのか」「誰を対象とするのか」「研修後にどうなってほしいのか」といった前提を整理することがポイントです。

本記事では、こうした研修企画に必要な情報を整理することを「研修の要件定義」として、管理職研修の企画・相談前に確認したい9項目を解説します。

目次[非表示]

  1. 1.管理職研修は「何をやるか」の前にWhy・Who・Whatを整理する
  2. 2.管理職研修を企画するときに整理したい4つの必須項目
    1. 2.1.①目的・課題|なぜ研修を実施するのか
    2. 2.2.②対象者|誰を育成するのか
    3. 2.3.③期待役割|自社はその管理職に何を期待するのか
    4. 2.4.④到達目標|研修後にどうなってほしいのか
  3. 3.研修の実施条件として整理したい5項目
    1. 3.1.①参加人数
    2. 3.2.②実施形式
    3. 3.3.③実施時期
    4. 3.4.④予算
    5. 3.5.⑤これまでの研修・施策
  4. 4.【記入例つき】管理職研修の企画・相談チェックリスト
  5. 5.要件が未確定でも研修会社への相談は可能
  6. 6.まとめ

管理職研修は「何をやるか」の前にWhy・Who・Whatを整理する

研修を企画するときは、「1on1研修を実施する」「グループワークを取り入れる」といった具体的な内容に目が向きやすくなります。しかし、研修内容にあたる「How(どうやるか)」を決める前に、5W1Hのなかでも、まず次の3点を整理しておくことが大切です。

観点

整理すること

Why

なぜ研修を実施するのか、どのような課題を解決したいのか

Who

誰を対象にするのか

What

研修を通じてどのような状態を目指すのか

Why・Who・Whatを整理したうえで、参加人数や実施形式、時期、予算などの条件を確認します。内製・外注を問わず、こうした要件を明確にしておくことが研修設計の土台となります。

管理職研修を企画するときに整理したい4つの必須項目

まず整理したいのが、研修の目的や対象者など、企画の骨格となる4項目です。この部分が曖昧なままでは、研修会社へ相談しても「どのような研修が自社に合っているのか」を判断しにくくなります。

①目的・課題|なぜ研修を実施するのか

最初に、研修を実施する背景や解決したい課題を整理します。「新任課長研修を実施したい」だけでは、どのような問題を解決するための研修なのかが分かりません。

  • NG例
    「新任課長研修を実施したい」

  • 整理例
    「新任課長がプレイング業務を抱え込み、部下育成に十分な時間を使えていない」

現場で何が起きているのか、誰がどのようなことに困っているのかまで言語化すると、必要な研修内容を検討しやすくなります。課題がまだ明確でない場合は、現場管理職へのヒアリングやアンケート、過去の研修結果などから情報を集める方法もあります。

②対象者|誰を育成するのか

次に、研修の対象者を具体化します。同じ管理職研修でも、新任課長と経験を積んだ既任課長では、求められる役割や抱えている課題が異なります。

  • NG例
    「管理職を対象に研修を実施したい」

  • 整理例
    「昇進1年以内の新任課長10名」

役職だけでなく、管理職経験年数、所属部門、対象人数なども分かる範囲で整理しておくと、対象者の状況に合わせた研修を検討しやすくなります。

③期待役割|自社はその管理職に何を期待するのか

対象者を決めたら、会社としてどのような役割を期待しているのかを整理します。

管理職に求める役割は、企業の方針や組織の状況によって異なります。そのため、「一般的な管理職像」ではなく、自社ではどのような行動や役割が求められているのかを言語化することがポイントです。

  • NG例
    「しっかりマネジメントしてほしい」

  • 整理例
    「自分で成果を出すだけでなく、メンバーを通じてチームの成果を生み出してほしい」

経営方針や人事制度、階層ごとの役割定義などがある場合は、それらも確認材料になります。

④到達目標|研修後にどうなってほしいのか

最後に、研修を通じて対象者がどのような状態になることを目指すのかを設定します。「リーダーシップを身につける」「マネジメント力を高める」といった表現だけでは、研修後に何が変わればよいのか判断しにくくなります。

  • NG例
    「リーダーシップを身につける」

  • 整理例
    「メンバーの状況に応じて仕事を任せ、育成できる状態になる」

研修後の行動までイメージできる形で設定しておくと、研修内容や効果測定の方法も考えやすくなります。

研修の実施条件として整理したい5項目

研修の骨格となる4項目に加えて、実施に関する条件も整理します。現時点で分かっている条件を研修会社へ共有すると、実施可能なプログラムや進め方を検討しやすくなります。

①参加人数

研修対象者が何名いるのかを確認します。参加人数によって、グループワークの組み方や講師の人数、会場の規模などが変わることがあります。人数が確定していない段階であれば、「20~30名程度」など、おおよその規模でも構いません。

②実施形式

集合研修・オンライン研修など、希望する実施形式や制約を整理します。

対象者が全国の拠点に勤務している場合や、一か所に集まることが難しい場合は、オンライン研修が候補になります。一方、参加者同士の対話や演習を重視する場合には、集合形式を検討することもあります。

最初から形式を決め切るのではなく、「全国勤務のため一堂に集まることが難しい」といった事情を共有して、研修会社と実施方法を検討する方法もあります。

③実施時期

研修をいつ頃実施したいのか、目安を確認します。年度初めや昇進時期に合わせたい、繁忙期は避けたいなど、自社側の事情があれば整理しておきます。

研修内容によっては、企画や教材作成、関係者との調整などの準備が必要です。具体的な日程が決まっていない場合でも、「10~11月頃」といった希望時期を伝えておくと、その後のスケジュールを組みやすくなります。

④予算

研修にかけられる予算や上限が決まっている場合は、あらかじめ確認しておきます。予算によって、実施回数やプログラムの内容、対象人数など、提案できる範囲が変わります。

社内で予算が確定していない場合は、「未定」として相談しても問題ありません。予算決定前であることを伝えたうえで、希望する研修内容に応じた費用感を確認する方法もあります。

⑤これまでの研修・施策

過去に実施した研修や育成施策がある場合は、その内容や結果も整理します。確認しておきたい情報には、次のようなものがあります。

  • 過去に実施した研修のテーマ・内容

  • 実施した時期・対象者

  • 受講者アンケートの結果

  • 現場や上司から寄せられた意見

  • 研修後に見られた変化

  • 継続して残っている課題

これまでの取り組みを共有すると、過去の研修との重複を避けるだけでなく、「前回の研修後もどのような課題が残っているのか」を踏まえて、次の施策を検討できます。

【記入例つき】管理職研修の企画・相談チェックリスト

ここまで紹介した9項目をまとめると、次のようになります。

社内で企画を整理するときのチェックリストとして使うほか、研修会社へ問い合わせる際の情報整理にも活用できます。

項目

整理すること

記入例

目的・課題

なぜ研修が必要なのか

新任課長がプレイング業務を抱え込み、部下育成に時間を使えていない

対象者

誰を対象とするか

昇進1年以内の新任課長

期待役割

対象者に何を期待するか

自分で成果を出すだけでなく、メンバーを通じてチーム成果を生み出す

到達目標

研修後にどうなってほしいか

メンバーの状況に応じて仕事を任せ、育成できる

人数

何名程度か

10名

実施形式

制約・希望はあるか

全国勤務のためオンライン希望

時期

いつ頃実施したいか

10~11月頃

予算

予算・上限はあるか

未定

これまでの研修・施策

これまで何をしたか

前年度は新任管理職研修を1日実施

9項目を埋めていくと、単に「管理職研修を実施したい」という状態から、「誰の、どのような課題に対して、どのような変化を目指す研修なのか」まで整理できます。社内で上司や経営層へ企画を説明するときにも、認識を合わせるための材料として活用できます。

要件が未確定でも研修会社への相談は可能

ここまで9項目を紹介しましたが、問い合わせ前にすべてを確定させる必要はありません。

「課題は感じているものの、原因までは整理できていない」「対象者は決まっているが、研修後のゴールを設定できていない」といった段階でも、研修会社に相談できます。

分からない部分を無理に自社だけで決めてしまうと、本来の課題とは異なる研修内容を選んでしまう可能性があります。相談前には、次のように「決まっていること」と「決まっていないこと」を分けて整理しておくとよいでしょう。

  • 対象者と人数は決まっている

  • 現場から部下育成に関する悩みが出ている

  • 具体的な研修テーマは決まっていない

  • 実施時期は秋頃を想定している

  • 予算はこれから社内で検討する

未定の項目も含めて共有すると、研修会社と一緒に整理したいポイントが明確になります。具体的なカリキュラムまで自社で決めてから相談するのではなく、現時点で分かっていることや抱えている悩みを整理して伝えることで、その後の打ち合わせも進めやすくなります。

まとめ

管理職研修の企画では、最初からカリキュラムを決めるのではなく、自社が抱えている課題や対象者に期待する役割を整理し、研修で目指す方向性を明確にすることが大切です。

要件を整理しておくと、社内で企画の認識を合わせやすくなるだけでなく、研修会社へ相談する際にも、自社の状況や希望を具体的に伝えやすくなります。すべての項目を確定させることが目的ではなく、現時点で分かっていることと、これから検討したいことを整理しておくことがポイントです。

リ・カレントでは、企業ごとの課題や育成テーマの整理から研修プログラムの設計、実施後の定着まで支援しています。管理職研修の企画や進め方に悩んでいる場合は、ぜひご相談ください。

人気記事ランキング