

クリナップ株式会社 人事部 後藤浩様
クリナップ株式会社 営業本部 営業企画推進部 コミュニケーション課 課長 守屋 雄策様
クリナップ株式会社様にて、次世代リーダー層が自社の未来を考え、
新たな価値創造に挑む育成施策として、
「クリナップビジネスアカデミー(通称CBA)」をリ・カレントよりご支援しています。
30歳〜50歳の次世代リーダー層を対象とする本施策は、
本人の自発的な手上げよる応募を基本とし、上司(部門長)の確認を経て申請し、選抜する方式により、事業創造と組織変革をテーマに、10年後の事業・組織を担う人材を育成する取り組みです。
マインドセット、テーマ設定、ビジネスモデル設計、ワークアウト、成果発表までを含む本施策は、
単なる研修にとどまらず、受講者が学びを現場で実践し、
組織や事業の未来に向き合い続ける機会になっています。
本インタビューは、CBAを企画された後藤様と、リ・カレントで企画を担当した谷口より、
また、CBAでの学びをチーム運営や新たな活動へつなげているCBA第一期生の守屋様と、研修講師を務めたリ・カレント代表取締役社長石橋より、
それぞれ対談形式で実施。
施策に込めた想いから、受講者自身の内省や行動変容、
チームのミッション・ビジョン・バリューづくり、新規事業検討への広がりまで、深く伺うひと時となりました。
「会社の未来を担う人材を、どのように育てるか」。
人的資本経営の実践に向き合う、次世代リーダー育成の事例インタビューです。
■対談者
クリナップ株式会社 人事部 後藤浩様
クリナップ株式会社 営業本部 営業企画推進部 コミュニケーション課 課長 守屋 雄策様
リ・カレント株式会社 代表取締役社長(本施策講師) 石橋真
リ・カレント株式会社 人材組織開発プロデュース部 谷口大岳
対談前半では、次世代リーダー育成施策「CBA」企画立ち上げに込めた想い・施策展望について、クリナップ株式会社後藤様(以下、敬称略)リ・カレント谷口より伺いました。

――初めに、次世代リーダー研修:CBA(クリナップビジネスアカデミー)を企画された背景をお伺いしてよろしいでしょうか。
私はもともと開発から人事に異動してきまして、(人事に)入った時には、色々な研修体系がすでにありました。最初のうちはそのまま実施していたんですけど、やっていくうちに(このままの体系でよいか)疑問も出てきまして。
その一つが、今回やっているCBAです。人事部に入ってまず思ったのは、社員の年齢構成がすごくいびつというか、本当に若い世代がいない構成になっていることでした。
平たく言うと50歳以上の方が1000人近くいて、この人たちが10年後に抜けていった時に、この、少ない若い世代が会社の経営にも直接携わり運営していくと考えると、早めのリーダー育成・教育の必要性があるのではないかという仮説に立ち返って企画しました。
ちょうどコロナの前の時期で、いざやろうとしたら1年間待つようなことになりましたが、いつまで待っていても仕方がないということで、2021年から開始しました。ちょうど今回で5期生・5年目を迎えました。
1期20名ほどですので、ほぼ100名、CBA修了生の輩出ができてきたかなと。さらに倍くらい、10期までいきたいなと思っています。
――ぜひ「手上げ式でやりたい」というのが、当初から思いとしておありだったように感じています。
「せっかく教育機会として会社が投資していますから」というお話も、研修冒頭で(受講生向けに)毎度お話いただいていて。
人事から一方的に選抜するのではなくて、手上げ式にこだわった背景・理由をお伺いしてもよろしいですか。
私も40歳ぐらいで幹部研修に参加した時があり、その時は半分ぐらいが手上げ、半分ぐらいが推薦のような形でした。
こういった(次世代選抜)研修、「部長推薦で参加しなさい」と選抜すれば、できるのは分かっているんですよ。「上から言われたからやりなさい」という話になりますからね。
それはできるだろうけど、実際、「自分からやってみたい」という人はどのくらいいるんだろう?というのは、よくわからなかったんです。なので、ダメもとで(笑)。一回手上げでやってみたいなと思ったのが始まりです。
もし自発的に手があがらなければ、すぐ部門長推薦に切り替えるつもりもありました。
やっぱり、会社が一人あたり何十万円も投資する話なので、やらされ感よりも、自分でやりたいと言った人に投資すべきだという発想で進めました。
5期生を迎える今、結果として、手上げ参加が100%になっていて、「やりたい人がこれだけいる」という点では、最初に思ったことが当たったのではないかと思います。
――特に、第1期は70人を超える応募があったとのことで。
蓋を開けてみたら、これだけ自己推薦される方がいらっしゃった要因は何だとお考えですか。
会社全体がいろいろな意味で硬直化していたのではないかと思います。
社員ひとりひとりが思っていること・考えていること、日常業務での細かいやりとりはもちろんあるでしょうけども、その範疇に留まりがちです。
会社って生き物ですから。将来性を考えたとき、社員たちはふと考えると思うんですよね。
「この状況ではたして本当にいいのか」と。そういう、「自分の心に対する問いかけ」によって、70名の手上げが来たんじゃないかと思います。「そこに挑戦してみたい」が素直にあったんじゃないかと。社長の前で問題提起して、こうやるべきだとぜひ言ってみたいという、すごく思いが強い人が「こんなにたくさんいたんだな」と驚きました。いい意味で期待を裏切られましたね。
70名の中から参加者20名を選びましたが、どのぐらい手があがるかは全くわからなかったですからね。逆に70名も上がってきたので、選抜するのが大変でした。
――受講生の皆さんの様子ですが、やはり普段の業務では考えないことを考えますし、チームの中で部門を超えてコミュニケーションされているので、刺激になっていらっしゃるなと思います。
素晴らしく、今後の活動に役に立っているなと感じます。

――改めて、リ・カレントを選んでいただいた理由はどのようなものだったのでしょうか。
私がこのCBAを企画したいと言った時に、クリナップ単独ではなかなかやり切れないと思いましたので、協力いただく会社の皆さんに声をかけさせていただきました。10社近く声をかけさせていただいたというのが正直なところです。
先ほどもお話しましたが、35、40を超えた若年層に対するリーダー育成というところを考えた時に、半分ぐらいの会社さんは自社で持っている型通りのコンテンツを持ってくるんですよ。「3日間」、あるいは「1週間」のプランです、どうでしょうと。そこは全く期待していなくて、「そういうことを言っているんじゃないですよ」という話をしました。
こういう目的があり、こういう人に募集をかけて、半年間ぐらいの研修の中で意識も変えなければいけないし、何かしらのアウトプットを持って経営層に提案していく過程をちゃんとやりたい、という話をしました。そこに一番賛同していただいたのがリ・カレントさんだったので、最終的にはお願いすることになりましたね。
Change、Challenge、Creationの部分をよく理解していただいて、さらにプラスアルファ「使命」という要素も加えていただきました。そこは我々も全く考えていなかったので、もう一つ飛び抜けた何かを考えて提案されるのだなと。提案内容も私が描いたところに合っていたので、これはジャストだなということでお願いした経緯です。

――ありがとうございます。弊社でも企画やコンセプトは大事にしていますので、改めてそういったご感想を伺えてとても嬉しいです。
――最初に、次の10年を創る次世代リーダーの人材像を一緒に作らせていただいたと思います。
人材像を最初に固めたいと思っていらっしゃったのか、お話しする中でこういうことも必要だと思って取り組みに至ったのか、どちらでしょうか。

これもきっかけはリ・カレントのご提案でしたね。最初は私も分からなかったんです。
「リーダーの人材像?」となっていたんですけど、よくよく考えたら当たり前でした。どこを目指したリーダー層にしないといけないのかが最初にないと、その後のカリキュラムは組めませんよね、と。その通りだと思いました。入り方がすごく良かったと思っています。
そして、私も一つここで勉強になったんですけど、リーダー像を作った時、当時の役員15人ほどにアンケートを取ったり、取締役の方にヒアリングしたりして決めてきましたよね。
その際に、管理職層/営業職/開発生産と見事にそれぞれ視点が分かれました。
私は、それを見て「これがわかって良かったな」と思いました。
同じ方向に向いていなくてもいいんじゃないかと。管理を長くやっている人には、管理を長くやっている人なりの視点がある。これは新たな気づきでしたね。
――そういう意味では、それぞれの部門の中で必要な次世代リーダー像・ここを重視して育成していきたいというようなことはそれぞれで定まっていつつ、改めて会社全体で考える取り組みは今回が初めてだったということなのでしょうか。
そうですね。会社全体の次世代リーダーという形で、これだけ全社員に通達・公募・告知をして募集していたのは、多分初めてではないかと。
会社として、どうしても事業創造の部分は避けては通れない。そこにフォーカスあてて実施したのは、やっぱり良かったと思います。

――次世代リーダー研修では、「組織」か「事業」か、どちらかを成果物として求めるケースが多いと思います。あえて受講者へのご期待として「どちらも」に取り組まれた背景はありますか。
そうですね、「組織変革」の方が、会社としてはやりやすいのだろうと思います。過去にも組織変革を提案して、それをもとに新しい役割や部署を作ったことは何回かありました。ただ、事業創造となると、経営者はいろいろな意味で一旦構えると思うんですよね。人、モノ、金を投資しなければいけないので、その判断・決断はなかなか難しいところです。
事業創造といっても、ゼロから1を作れとは言わないですよ。それは本当に大変なことなので。
ただ、製造業である限り、メーカーとしての品物や強みがいろいろ会社にありますから、それを発展的に考えることは十分あり得ると思っています。そこに若い人の力・柔らかい考え方をインプットして、ぜひやっていただきたいというのが狙いです。
――5期まで通して、一期だいたい4提案ほど出てきていますけれど、これまでの(受講生の)提案をご覧になっていかがですか。
毎年の話題ですが、これはビジネスを生み出すための研修なのか、それとも教育なのかと揺れ動きます。
あくまで半分以上は教育の部分です。ただ、それだけでは長期間の研修としてもったいないので、そこから考え出されたアイデアを役員の前で話してみたら、という建て付けになっています。
わたしじゃ考えつかないような意見・提案がすごくたくさん出てきています。役員の方でも、「そういう提案するんだ・できるんだ」とびっくりされている方もいるんじゃないかな。
――本当に新規事業と呼べるものや、リソースを生かして新しい市場に入るような提案もあり、すごく期ごとにバラエティに富んでいて、良いですよね。

――CBA半年間の研修を通じて、受講前後の変化など、全体を見ながら印象に残っていることはございますか。
皆さん結構いきいきしてるなと思っています。それはそれで良かったと思いますし、横のつながりを持って、自分の仕事以外のところでも連携したり、そういう広がりは生まれているのではないかと思います。
76周年を迎える製造業で、どうしても部門ごと・部門ごとに硬直していくんですよね。部門間の交流も、多くはありません。製造なら製造、開発なら開発でクローズしてしまう。それを少し打ち破る意味も含めて成り立っていると思っています。いろいろな部門の人との話し合いや活動、時には意見が対立してもよくて、そういったものが受講生の活力やモチベーションにつながっているんじゃないかなと思っています。
――社内で「CBA卒業生」のような形で、プロジェクトが立ち上がった時に声をかける先にもなっていると伺っていますが、いかがですか。
ぜひ活用していただきたいですよね、せっかくですので。そういう切り口で話もしやすくなると思います。いちいちゼロからお願いするのではなく、共通項がある。その段階から物事をスタートできるメリットは非常にあるんじゃないかなと思います。
――難しいのは、評価や昇格の登竜門にはさせたくないというところですよね。
先ほどもお話しました、「これ(CBA)は(選抜)教育なんでしょうか、アクションラーニングなんでしょうか」という声と同じくらい、「これは昇進・昇格の登竜門なんでしょうか」という噂が聞こえてくることがあります。
そういうことは一切ないんですが、ただ見え方として、施策を3年4年と重ねていく中では、年齢的な適齢期もあって昇格や昇進しているケースもありますので、まあ目立つだろうとは思っていますね。
――最後にCBAの今後についてお話しできればと思います。事業展開の話もありましたが、今後のCBAへの展望はありますか。
大きくは2つ考えています。取締役とも話をしたのですが、筋の良い提案については、会社として真剣に投資していかないといけないということです。「それをやっていきましょう」と。
教育は教育ですが、その先のアクションラーニングを含めたアウトプットについて、提案だけではありませんよ、投資するものには投資しますよ、ということをはっきりさせていきたいです。
もう一つは、次世代リーダー育成の中でも、DXやAIのようなテーマに取り組みたいということです。こういうテーマも若い世代の方からどんどん提案してほしいと思っています。このご時世、DXやAIが絡んでこないと、この先は厳しいとは本当に思っていますね。逆に、受講生自ら少しやってみることで、ちょっとしたスタートができる環境でもあるので、ぜひ使った方がいいと思います。
――ありがとうございます。今も施策5期が走っている最中ですが、成果発表の時期に入ってくると思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

対談後半では、次世代リーダー育成施策「CBA」第一期受講生のクリナップ株式会社守屋様(以下、敬称略)より、実際に施策を受講して自身・組織に起きた変化について実体験をお伺いします。
研修講師を務めたリ・カレント石橋がインタビュアーを担当いたしました。
――リ・カレント石橋:
第1期生の守屋さんの(CBAへの)応募書類、今でも覚えています。
志望動機は大きく2つに分かれます。自分が勉強したいから出るというものと、事業や組織に問題点があって、それを解決したいから自分も勉強してやりたいというものです。
後者の、事業や組織を変えたいというところでかなり精緻にいろんなことを書かれていたのが守屋さんでした。「素晴らしい」と、これは私だけではなく、当時の企画者全員で推薦させていただきました。
1期生ということで、(CBAのような取り組みが)始まるのは初めてでしたが、「何が始まるんだろうな」など心配はありましたか。
クリナップ守屋:
当時はコロナの真っ最中、まだ出口が見えない中で、会社としての新しいチャレンジ・新しい研修が始まるのは意外に思いました。閉塞感がある時だからこそ、こういうことをやろうという風に見えました。そこはすごく前向きに「参加したい」という第一印象でした。

――Change, Challenge, Creationを(研修要綱から)感じたと。
そうですね。私自身も、管理職になって丸1年が経ったタイミングでした。それまでは実務をやってきて、チームのマネージャーになり、チームを動かすことには少し慣れてきた一方で、この先どうキャリアプランを立てていくのか、見えなくなっていた時期でした。やりがいをどこに見出すのかに迷いが生じたなかで、コロナ禍で会社の事業としても先が不透明な中で、自分を変え、少しでも組織に役立つように変えられたらいいなと思い、研修の案内を見て。
今言葉にしたほど具体的ではなかったかもしれないですが、頭の中のもやもやした思いが「これ受けてみたい」にすぐ結びつきましたね。
――ピンときた感じだったんですね。
クリナップ守屋:
確か、研修案内を見た次の日ぐらいには志望理由を書いて出した記憶があります。こういうのは気持ちが熱いうちに書いたほうがいいなと。上司から声をかけられたわけではなく、直感的に感じて動機を書いて出しました。ちょうどいいタイミングで、運もよかったのかなと。
――さすがですね。定員20人に対して70人ぐらいの応募をいただきました。他企業様でもそこまで多くの方が「自分から手を上げる」ケースはあまりありません。これは、相当皆さんに響くものがあったんだろうなと。
――実際に参加されてどうでしたか。1回目がマインドセットのコースで、2回目以降が事業戦略を学びながらアクションしていく形でした。それぞれ印象に残っていることや、プラスになった部分はありますか。
やっぱり、第1回のマインドセットの回が今でも忘れられないですね。それなりに仕事をやってきたつもりで、経験もあり、70人の応募者の中から選抜していただいたので、ちゃんとやらなきゃという使命感も含めて、気持ちを高揚させて参加しました。
第1回で、石橋さん(講師)の話を一方的に聞くだけではなく、こちらからのアクションややり取りの中で、自分が積み上げてきたものが木っ端微塵に砕かれるというか、非常に自分の未熟さをありありと感じました。メンバー全員感じたと思うんですけど。
そこからもう一回、自分のキャリアや会社、社会に対してどういう姿勢で考えていくのかを、一度崩された状態から考える機会をいただきました。今までの社会人経験で、それは本当になかったことでした。あの日を境に、自分の考え方や行動が変わったというのは明確にあります。

――360度サーベイで、自己認知と他者認知の差を感じられたりしたということなんでしょうか。私の記憶ですと、守屋さんは(サーベイの)スコアもかなり高かったように思いますが、どこで「自分は視野が高くないな」というようなことを思われたんでしょう。
ひとつはサーベイもあります。スコアだけではなく、定性の文章でも、上司や部下からどう見えているのか・自分の認知とのズレが分かり、今まで見えていなかった部分に光を照らしてもらった感覚がありました。
そこから、想像できるようになりましたね。今、自分はこう考えているけれど、この人から見ると何かが欠けているかもしれないな、と常に想像力を持ってコミュニケーションできるようになりました。
あと、外部環境の変化についても、あまりにも疎かった。
石橋さんから多くの事例や書籍を紹介していただき読んでいく中で、今まで自分たちの業界や会社の常識だけでやってきたことに気づきました。世の中はこんなに変わりつつあり、いろいろな視点の考え方があると知り。本当に「今までの時間がもったいなかったな」と思いました。
――事前課題として、課題図書を読んで、レポートとPowerPointにまとめていただくようなことをやっていただきました。そういう課題図書を読んでレポートを書くご経験は、それまであまりなかったのでしょうか。

会社の研修や教育プログラム、階層別研修などでレポートを書く機会はありましたが、多くはありませんでしたね。
実務では分析してレポートしたり提案したりする機会もありましたが、あれだけ全社的なことについて数字を見たり、組織間の壁や課題を見る経験は乏しかったので、まずそこは事前課題の時点から、視野を広げていただいたように感じました。
――(事前課題の設計には)私自身の体験上のこだわりもありまして。ビジネススクールに通っていた時、課題レポートの制作を通じて、「まとまってないな」「自分、頭悪いな」と感じたことがありまして(笑)。
そこで当時在籍していた事業全体の構造を分析し、どこに力を入れるか、組織構造をどう変えるかを自分なりにレポートにして、当時の事業部長に直談判しにいってフィードバックをもらったこともあります。
具体的に何かやってみて、しっかりそこでフィードバックをもらう。その中から、足りないところに気づいていただけるかなと思って設計しました。フィードバックをもらうと気づきは多いですよね。
テクニックや知識よりも、事前課題のところで、「まずはスタンスや姿勢の問題なのだ」と気づかせていただきました。
仕事をしていると評論家で終わってしまう人もいる中で、自分も含めてみんなが反省するポイントを共有できていることや、第1回の前に事前課題で主人公になったつもりで追体験していることが、全員にとって良いスタートになったと思います。
――最初の(集合研修)二日間のマインドセットのコアは「内省」でした。経験・内省・持論化ですね。「周りが悪い」「経営が悪い」と言っても動かない・何も変わらないよねと。事前課題の内容と結びつけて気が付いてもらえるよう、設計しました。
フォロー研修が終わった後、最後の一人ひとりの感想で、「一番印象に残ったものは何ですか」と聞いた時に、(守屋さんが)「内省です」とおっしゃったのは、とても印象に残っています。
今でも自分の中に内省の時間があります。毎日仕事が終わった後、夜食事が終わった後・晩酌が終わったあと、今日1日どうだったか、メンバーからああいうふうに聞かれて、なぜあのように答えられなかったのか、もっとこういうふうに言えばよかったのか、そういうことを考えます。ネガティブなことだけじゃないんですけど、研修を受けて、より明確にやるようになった感じです。
内省がいかに大事かということは、おかげさまで身につきました。内省すると自分にメリットが返ってくる、ちゃんとプラスで返ってくるということに研修で気づきました。
――その後の事業創造プログラムでは、さまざまなフレームを使いながら進めました。一番役に立ったことや印象に残っていることはありますか。
ミッション・ビジョン・バリューを考える機会がありました。今でも自分の組織の中では、ミッション、ビジョンを作ることを習慣づけています。今日持ってきたんですけど、私の課のミッション・ビジョン・バリューはこういう形です。
これは私一人で作るのではなく、メンバーと一緒に、来年度が始まる3月ぐらいに、このチームはどのような使命を負ってやるのか、3年後・5年後に自分たちはチームとしてどうなっていたいか、そのためにどういう価値観で行動するかを考えています。
全て作り直すわけではないですが、外部環境が変わると毎年少しずつ文言も変わりますし、チームメンバー全員が「これは自分たちのチームだよね」と主体性を持てるようになってきたと思います。
まずこれが、その後一番役に立っていますね。

事業創造についても、ビジネスモデル・新しい事業を作ろうということで、CBAの後輩の2期生とプロジェクトを立ち上げている中で、教えていただいたフレームを使わせていただき、少しずつ準備を進めています。
――貴社は「五心」という、力強く胸にグッと迫るミッション・ビジョン・バリューをお持ちですが、それらの原点に戻り、自分たちの言葉で捉え直すというセッションもご一緒させていただきました。それらを研修後も実践されているということなんですね。
自分たちのチームレベルでのミッション・ビジョン・バリューなので、メンバーも考えやすいです。こういうことに参加できること自体が、普段言う機会がなかったことの出口にもなると思ってます。
将来的には全チームでやるようにルールづけしたいぐらいです。逆に、これなくして、どうやって事業計画を毎年立ててるのかなと。もちろん部門方針はあると思うんですが、部門の方針ってビジョン・バリューに近いもので、ミッションを書いていなかったりするので。
何のためにこのチームは・この部は存在しているのかを突き詰めて考える経験は、年に一回くらいはあった方がよいと思っています。
――チームで作ってくださっているミッションを拝見して、感動して鳥肌が立ちます。
研修でお伝えしたことを、やり続けていただいているというのは本当にありがたいですね。
評論家で終わるのではなく、教えていただいたことを組織の中に実装していく。
そうしないと、CBAの後輩たちも具体的に組織やチームを変えることに取り組まないのではないかと思います。1期生で、しかも本社で勤めている者の使命として、やり続けることで真似する人が増えたらいいと思っています。
――ちょっと感動しています。組織内のレガシーまで考えて動かれているんですね。
割と何でも真に受けるほうなので、教えていただいたら、教えていただいたらすぐ真似しようと(笑)。
経営プレゼンで新規事業の提案もしましたが、「これはもう研修じゃないな」と。研修で終わらせてはいけないなと。
これは本当に具体的にやっていかないと、近い世代の人たちが新規事業を提案し、失敗してもいいから事業を作っていくという前例を作らなければ、組織文化として根付かないと思っています。CBAをきっかけに組織文化を変えていくぐらいの気持ちで仕事をしています。
――素晴らしいですね。CBAで学んだことや、CBAでつながった人脈を生かして、ご自身でも企画されたものがありましたよね。
私の経営プレゼンの時には、次世代型キッチンの事業サービスを作っていこうという提案をしました。
未熟で不十分なところもありましたが、CBA2期生でも近い提案がありました。その2期生の提案をしたリーダー格の開発メンバーと一緒に、部門を越えてプロジェクトを作ろうということで、「未来キッチン」というプロジェクトを立ち上げました。

https://cleanup.jp/miraikitchen/ (クリナップ株式会社「未来キッチンプロジェクト」HP)
最終的には「モビリティキッチン」として、家の中にとらわれず家の外でも、通常時だけでなく災害時にも人が助け合えるような場や、コミュニケーションの場として楽しめるものを考えています。人と人の出会いを作る場として、キッチンにはもっとポテンシャルがあるのではないかと思っています。
今、モノの提案とサービス、事業をどうしていくかを検討しています。これを事業としてきちんとやっていくためには、会社としても新規事業の判断軸を作っていく必要があると思うので、それも合わせて提案していかないといけない。

中期経営計画の中にも、経営基盤の次世代化という項目があります。
今の経営層の方々が次世代化する部分と、10年後・15年後のことを考えて我々世代で提案できることは多分違うだろうと思っています。このプロジェクトの延長線上、CBAの延長線上で、会社全体のミッション・ビジョン・バリューを考えようとしています。
10年後、15年後を見据え、今の理念体系や企業理念の言葉もちゃんと踏まえながら、我々だったらどのようなミッション・ビジョン・バリューなら全社に腹落ちするのかを考えています。CBAの2期生から4期生に声をかけたところ、忙しい中でも26名が手上げで参加してくれました。
今、次世代リーダー研修を受けた世代から活動していかないといけないのかなと思い、新しいチャレンジとして始めています。
――それは2025年から始まった活動ですか。
そうですね。その活動は今年度、2025年から始まっています。その裏には、新しい事業提案をもっとドライブかけていくという考えがあります。
会社として長期ビジョンが明確であれば、どの事業をやるべきで、どれをやらないかを決められると思います。長期ビジョンを具体的にし、ミッションとどうつながっているのかを、ちゃんと自分たちの言葉で明確にしていく活動を、未熟ながらスタートしています。喧々諤々しながら(笑)。
――まさに、自分の中にでき始めたミッション・ビジョン・バリュー、それを今度は会社の「次世代」に向けて形作る、そのリーダー・まとめ役をされているということなんですね。こんな嬉しいお話を聞けるとは。
(CBA)1期生ですし、本社にいるんだし、というところである種使命感を持ってやっていますね。
ただ、自分が苦手でできないこともあるので、周りに助けてもらいながらですけれども。少しずつ活動しています。このCBAという研修がなかったら、そういう活動もできなかったと思いまして、早くお会いしてお礼を申し上げたかった。
(次世代ミッション・ビジョン・バリュー作成プロジェクトについて)実際に参加してくれた26名以外でも、「参加したいけど日程的にできないわ」という人が10人ほどいました。CBA研修を受けると使命感と仲間意識が強くなるので、「そういう声かけだったらやりたい」と大体の人が反応してくれましたね。
――後藤さんのソウルが伝播していますね。
クリナップ後藤:
プロジェクトについて断片的にしか伺えていませんでしたが、今聞いたらすごいことになっていますね。
クリナップ守屋:
社長にも「こういう活動をしています」とはお伝えして認めていただいています。ただ、まだ社内で議論しているだけで、実際にどのような社会へのアウトプットになるかはこれからです。でも社内から出てこないと、外には出せないと思っていますので。
――世の中に、こんな素敵なミッション・ビジョンを組み立てる会社さんがあるという刺激にもなると思います。
これからCBAに参加する人たちにも、これに参加するとそういう活動に巻き込まれていくんだよ、と知ってほしいんです。昇格したいから来るのではなく、本当に会社を変えたいと考える人の集団があるのだと思います。いろいろなプロジェクトで、CBA出身者に声をかけられる文化を作ってきました。
あと5年と言わず、ずっと続けていただけるといいなと。
――ここ(次世代リーダー育成)は生命線ですからね。将来の次世代経営者がそこから出ていく。
クリナップ後藤:
100人、200人と、そういう志を持った人たちが会社で働いてくれれば、素晴らしいことだと思います。
――本日はありがとうございました。

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